私は計7年くらい「格安SIM」や「WiMAX」などを扱う会社で働いてました。格安SIMも今ではだいぶメジャーになってきましたね。
ただ、実際に使っている人となると、まわりを見渡してもまだまだ少ないのが現状です。なんていったって、僕のいた会社の格安SIMの担当部署の人ですら、ドコモやauやソフトバンクといった大手携帯会社(キャリア)を使っている人の方が多かったですから。
いいかよく聞いて。「格安SIM」とはね…
というわけで今回は「格安SIMがまったくわからない人」でも完全理解できるように、格安SIMを5つのポイントにわけて解説します!
目次
ポイント1.格安SIM・格安スマって結局なんなの?
ちまたでは「格安SIM」・「格安スマホ」の2つの呼び名がありますが、まずこの2つの違いについてです。
格安SIM |
ネットや電話を安く使えるSIMカード。 また、格安SIMを提供する会社を指す場合も。 |
格安スマホ |
格安SIMとスマホを 組み合わせて安く使える状態になったスマホ。 また、格安SIMを提供する会社を指す場合も。 |
「おすすめの格安SIMはどこ?」みたいな使われ方をした場合は「低価格な携帯通信サービスを提供する会社」を指してます。
超カンタンに言うと「ドコモ・au・ソフトバンクみたいな携帯サービスのめっちゃ安い版」てことです。
ポイント2.格安SIMはなぜ安いのか?
つづいては、格安SIMを理解する2つ目のポイントとして「格安SIMはなぜ安いのか」について解説します。
よく考えると「格安SIM」ってすごいネーミングですよね。
ただ、そう言っちゃうくらい大手携帯会社とくらべるとどの格安SIMも断然「安い」です。
スーパーで売ってる牛乳だって、消費期限ギリギリだと安くなるじゃないッスか。
まあ僕は消費期限切れても飲みますけどね!
ニノくん、どうやら大きな勘違いをしているね。格安SIMは確かに安い。
でも、品質が悪いから安いわけじゃないんだよ。
ここからは、格安SIMが安い理由を説明します(前置きが長くてすみません)。
格安SIMが安い理由①:通信設備を持っていないから安い
格安SIM会社は、ドコモやauやソフトバンクといった大手携帯会社が持っている設備(街中にあるアンテナや、交換機などのとっても高い設備)を基本的には持っていません。
というのも、全国各地のいたるところにアンテナを建てたりするには莫大なコストがかかるからです。ドコモ(NTTドコモ)やau(KDDI)やソフトバンクといった資金を潤沢に持つ超大企業しかそうした設備投資は不可能なんです。
だから日本の携帯電話市場は、ながらくこのビック3の携帯会社の独占状態になっていました。
そこで総務省が規制を緩和して、設備を持っていない会社でも大手携帯会社の設備を借りることで携帯サービスの提供ができるようになったんです。
でも、設備を借りるとなんで安くできるんですか?
格安SIMはその上乗せがいらないから、とても安く提供できるんだよね。
格安SIMが安い理由②:プランがシンプルで安い
大手携帯会社のプランはすごい複雑です。
私は、auショップの業務に関わったこともあったんですが、はっきりいってショップで働く人も料金プランを完全には把握してないと思います(私は全部把握できなかった…)。
ニノくんだけじゃなく、大手携帯会社の料金プランが複雑すぎて「さっぱりわからねー!!」ってなったことがある人は多いと思う。
格安SIMは「データ容量」と「電話機能の有無」を選べばOK
一方、格安SIMの料金プランはとてもシンプルで、基本的には「毎月何GBの通信するか(毎月ネットどれくらいする?)」と「電話機能がいるか」を選ぶだけでいいんです。
アプリやWEB検索は「通信(ネット)」で、090・080・070からはじめる電話番号を使って話すのが「通話」。
格安SIMはその2つについてだけ選べばOKなプラン構造になっていて、とてもシンプルです
でも料金プランがシンプルだとなんで安いんですか?
料金プランがシンプルだとなぜ安い?
料金プランを増やすと、新たなシステムを開発する必要があったり、パンフレットやチラシなんかも刷り直したりといろいろなコストがかかってしまって、結局は携帯料金にその分が上乗せされてしまいます。
しかし、プランがシンプルならそれらの運営コストを抑えられるから、料金を安く保てるわけです。
これは以外と知られていない事実です。
ポイント3.格安SIMの通信品質って?
格安SIMというのが「安かろう悪かろうではない」というお話をしましたが、実際のところ「通信品質はどーなの?」と気になる人は多いはず。
格安SIMを完全理解するポイントの3つ目「格安SIMの通信品質」について解説していきます。
大手キャリアと格安SIMの通信エリアは同じ
ネットや電話がつながるエリアはドコモと全く同じ全国エリアだよ。
格安SIMと大手キャリアは電波が届く範囲という意味では、差はありません。これは格安SIM全社に言えることです。
通信速度は格安SIM各社で違う
ただし、大手携帯会社と同エリアでネットには繋がるけど、そのときにどれくらいの通信速度がでるかは格安SIM会社によって違います。
たとえば、ドコモのスマホと、とある格安SIMの2つで同じ場所でYouTubeを見たとしても、動画データの読み込む速度が微妙に格安SIMの方が遅い場合があります。
でも、最近はほとんど差がなくなってきてるから、体感レベルではまずわかりません。
何年か前までは「格安SIMは通信速度が遅い。YouTubeがちゃんと見れない」なんて言われてましたが、今ではまったくそんなことありません。
このサイトで紹介しているような主要格安SIMなら、ふつうにYouTubeが高画質で見られます(昼12時~13時くらいだけ中~低画質になりますが見られないことはないです)。
格安SIM完全理解のポイント4.格安SIMのメリット
つづいては格安SIMを完全理解するポイントの4つ目「格安SIMのメリット」について解説します。
メリット①:年間4万円以上の節約効果
格安SIMの最大の魅力はやはり料金が格安なわけですすが、大手携帯会社と比べるとどれくらい安くなるのか?
ドコモと格安SIM(mineo)の料金比較
ドコモの月額料金 | |
5分かけ放題 (カケホーダイプランライト) |
1,700円 |
データ容量3GB └音声通話SIM └ベーシックパック3GB └SPモード |
4,600円 |
合計 | 6,500円 |
mineoの月額料金 | |
10分通話かけ放題 | 850円 |
データ容量3GB └音声通話SIM └3GB |
900円 |
合計 | 2,450円 |
差額まとめ | |
ドコモ月額 | 6500円 |
mineo月額 | 2450円 |
差額 | 3640円 |
ドコモのかけ放題「カケホーダイライト」は一回5分までの通話がかけ放題。mineoは一回10分までの通話がかけ放題になります。なのに、mineのかけ放題の料金は半額です。
つまり年間で43,680円の節約になります。
この試算は格安SIM会社のホームページとかパンフレットとか作るときにも載せるですけど、やっぱり何度やってもエグいくらい節約になります。
ズルくないすか?
まあ、気持ちはわかるが。ニノくんも早く乗り換えた方がいいよ。
デメリットを聞いてませんし。僕はまだ騙されませんよ。
メリット②「2年縛り」がない
ドコモ・au・ソフトバントといった大手携帯会社には「2年縛り」というものが存在します。
2年縛りとは?携帯を買った月から2年間以内に解約したら、解約手数料として約1万円が発生するという辛いルール。
しかも2年目の月を過ぎると、また新たな2年のカウントが始まるという自動更新型で、解約しづらい。
総務省とかにもたびたび問題視はされている点なんだ。僕もauを解約するときに1万円払ったなあ。
格安SIMにはこの「2年縛り」が無いんだよ。
■イメージ図
格安SIMで大手携帯会社と同じように使う場合は「音声通話機能SIM」というのものを選ぶんですが、最低利用期間は約8ヶ月~1年でその期間をすぎたらいつ解約してもお金はかからないという親切システムなんです。
- 「2年間でなく1年でいい点」
- 「自動更新型でもない点」
この2つは格安SIMの大きなメリットのひとつです。
ちなみに格安SIMを最初の1年以内に解約した場合は8000円~10,000円くらいかかります。
ちなみ090、080、070からはじまる携帯電話番号を使わない人は、ネットしかできない「データ通信SIM」や、ネット+ショートメールが使える「SMS付きSIM」の方を選ぶことができます。
加入した次の日に解約しても、解約手数料は一切かからないので手軽に使い始められます
格安SIM完全理解のポイント5.格安SIMのデメリット
つづいては格安SIMを完全理解するポイントの5つ目「格安SIMのデメリット」について解説します。
世の中にメリットだけのモノなんてないっすよ?
確かに大手携帯会社とくらべて提供していないサービスがあったりするので、人によってはデメリットと思う事もあるはずです。
格安SIM会社に勤めてた者としても、お客さんに買ってもらってから「思ってた感じと違った…_| ̄|○」と思われるのは避けたいものです。
なので、ここでしっかり「デメリット」を明らかにしていきます。
デメリット①:「docomo.ne.jp」などの大手携帯会社のメールアドレスが使えなくなる
格安SIMに乗り換えると「@docomo.ne.jp(ドコモのメール)」「@ezweb.ne.jp(auのメール)」「@softbank.ne.jp(ソフトバンク)」といったアドレスの大手携帯会社のメールサービス(キャリアメール)は使えなくなります。
なので、乗り換えると使えなくなってしまうのです。
ただし、代替品としてGoogleの提供する「Gmail」や、iPhoneならアップルの提供する「iCloudメール」が無料で使えるので安心してください。
これらのフリーメールはとても進化していて、大手携帯会社のメールと同等かそれ以上に使いやすいです。
ただ、Gmailなどにしても、大手携帯会社のアドレスは変わってしまうからね。
スマホの電話帳に入っている人たちに、「アドレス変わりました」っていメールを一斉送信するのがちょっと面倒くさいかもね。
いまはアドレス変更しましたっていうのを、ちゃちゃっとできるアプリがありますから。
でも、そういったアプリは便利だね。
「Gmailとか使ったことないしわからない」という方も、以下の手順で問題ないです(ざっくりでごめんなさい)。
Gmailを使うまで
Googleアカウントを取得する
↓
「Gメール」のアプリをダウンロード
↓
取得したGoogleアカウントでログイン
↓
受信BOX、送信(Sent)BOXなど
あとは普通のメール機能と一緒
※キャリアメールをメインで使ってた人は電話帳の方々にフリーメールにアドレスを変更した連絡をしないといけないですね。
ここだけちょっとめんどくさいですが、ニノくんが言ってたみたいな一斉送信アプリもあるので活用しましょう![/aside]
デメリット②:大手携帯会社の決済サービスが使えなくなる
「大手携帯会社の決済サービス」とは各キャリアが提供している料金支払サービスで「キャリア決済」と言われます。
各社のキャリア決済の名称
大手携帯会社の決済サービスの名称 |
ドコモケータイ払い |
au かんたん決済 |
ソフトバンクまとめて支払い |
この「キャリア決済」は格安SIMにしたら使えなくなってしまいます。
使ったことないけど!
キャリア決済の代替サービス
キャリア決済の代替サービスとして、クレジットカード払いや口座振替払いなどが挙げられます。
そもそもキャリア決済で支払える物販サービスってそんなに多くないですし、普段からクレジットカードや口座引き落としで支払う主義の人はそもそも関係ないので、あまり大した問題ではないと思います。
使っている人はそんなに多くないかも。
デメリット③:LINEのID検索機能が使えない(LINEモバイルを除く)
まずそもそもの話から。
LINEアプリでは「ID検索」機能は青少年保護の観点から「18歳未満」の場合は使えなくなっています。
LINEを使っている人の名前(ID)を検索できる機能。直接会わなくても誰かの名前を検索して連絡できてしまうため、出会い系的に悪用される事があり、年齢制限を設けている。
大手携帯会社の場合は「年齢認証」といって、携帯会社からLINEへ契約者の年齢を伝える機能があるんですが、格安SIMの場合はそれがありません。
そのため、たとえ18歳以上の人でも格安SIMではLINEのID検索機能を使うことができないんです。
LINEのID検索の代替手段
ID検索はLINEの”友だち”を追加する方法のひとつですが、LINEには他にも”友だち”を追加する方法があるため、さほど困ることはありません。
LINEモバイルについては以下を参照ください。
LINE自身がLINEモバイル契約時に18歳以上か確認していることになるため、格安SIMの中で唯一ID検索が使えるようになってます。
デメリット④:その他の細かいデメリット
格安SIMには定額で何度でも何時間でも通話がかけ放題になる「完全通話かけ放題」は無いです。その代わり”1回10分以内の通話が10分以内の通話なら何度でもかけ放題”になる「10分通話かけ放題」をほぼどの格安SIMでも展開してます。月額はどこも850円くらいです(これで充分な人がほとんど)。
大手の格安SIMでも、昼12時台は通信速度が落ちます(遅い時で0.5Mbps〜2Mbps)。ただし、YouTubeを高画質で見続けるのがキツいくらいで、低〜中品質なら見られるレベルを維持しています。普通にニュースを読んだり、メール、SNSをする分には特に困ることはないです。
ニノくん、どう?意外とたいしたことないでしょ?
まとめ
格安SIMについて、ざっくりではありますが理解できたでしょうか。
現在はいろいろな格安SIMブランドがあって、それぞれ特徴があります。各社の特徴を見てるだけでも面白いので、興味のある人は以下の記事も読んでみてください。